top of page

​フォーラムを生んだ2つの母体

​報道実務家フォーラムは2つのジャーナリズム団体による実践から生まれました。

フォーラムが生まれた母体①

取材報道

ディスカッション

グループ

 日頃の取材、報道をもっと面白く、意義深いものにしたい。ニュースの現場をもっと元気よく、そして知恵、工夫を凝らすことはできないだろうか。私たち取材報道ディスカッショングループは、ニュースの現場にいる新聞社や通信社、放送局の記者やディレクターといった報道の実務家たちが自らジャーナリズムを議論する場として2007 年11 月に誕生しました。


 従来のジャーナリズム論は、ともすれば「報道は何をしてはならないか」という議論が多く、読者や視聴者が本当に知りたいことに報道実務家はどう応えていくかという視点は弱かったように感じていました。あるいは「記者はもっと頑張れ」という叱咤激励はあっても、では具体的にどうすればいいのかを現実に即して考える場は不十分に思われました。そこで、私たちは現場の視角と感性を持ち寄りながら議論し、取材報道のノウハウを共有していこうと月1回程度の例会を開くことから始めました。


 正面からの取材では知り得ない組織の内部情報をどのようにしたら手に入れることができるのか。第1回のテーマは、「潜入取材の実務と公益性」でした。英国ではBBC記者が民営刑務所の職員に採用されたり、ガーディアン紙の記者が極右政党に入党したりして腐敗や内情を暴露した実例があります。身分を偽った取材は許されないのか、白熱した議論が展開されました。「報道機関や記者に対する内部告発をどう生かすべきか」「テレビ報道におけるモザイク処理」「匿名報道をどうみるか」といったテーマでは、何を報じてはならないかではなく、どう取材して報じていくべきか――を議論の基本にしていきました。映画「ローマの休日」をテーマにしたこともあります。主人公の米国人記者は身分を隠して王女の行動を取材しましたが、結局、記事化を見送りました。自分なら果たしてどうするか、といった議論では賛否も問いました。


 また、「原発事故報道の課題」「調査報道の国際的な取り組み」、「特定秘密保護法は、どのような影響を取材現場に与えるのか」――など報道を取り巻く課題も議論し、「リベラルと報道、いまの空気は…」というテーマで読者・視聴者からの「偏向」批判にどう向き合うべきかも話し合いました。報道実務家の職能集団である「日本記者協会」構想もその一つです。


 内輪の例会だけでなく、英新聞出版苦情委員会(PCC)の委員を招いた「英国の報道と倫理」、情報公開分野の専門家を招いた「情報公開と取材のウラ技」などの公開セミナーを開いたほか、2010年から早稲田大学大学院ジャーナリズムコースと連携して報道実務家フォーラムを共催し、今回の「拡大版」に発展しました。


 私たちが目指すのは、ニュースを面白くするための白熱教室です。取材と報道にあたっての実務的な課題、問題点を現実に即して提示し、具体的な解決への手がかりを見つけていこうと思っています。参加をお待ちしています。

早稲田Jスクール

フォーラムが生まれた母体②

早稲田大学大学院

​政治学研究科

ジャーナリズムコース

変化の激しいメディア環境に対応

 早稲田大学大学院政治学研究科は、2005 年に開始した「科学技術ジャーナリスト養成プログラム」を経て、2008 年4 月に「修士(ジャーナリズム)」の学位を授与する日本初のジャーナリズム大学院として、「ジャーナリズムコース」を設置しました。J-School と呼んでいます。
 J-School の定員は修士課程60 名、博士課程10 名。修士課程では各専門分野の研究者と現役ジャーナリストが密接に連携しながら、高度専門職業人としてのジャーナリスト育成をめざしています。新卒学生だけでなく、現役メディア関係者が社会人学生として学ぶケースも増えています(注1)。変化の激しいメディア環境に対応し、公共の利益に貢献する優れたジャーナリストを育成することは、時代を超えた早稲田大学の使命であり、責務です。

3つの育成目標
 一つめは「プロフェッショナルなジャーナリストの育成」です。21 世紀のメディア・テクノロジーを生かせる、「個」として強いジャーナリストが求められています。J-School では文章、写真だけでなく映像やウェブを使いこなせるジャーナリスト、調査報道やデジタルデータに強いジャーナリストの育成(注2)に取り組んでいます。
 二つめは「専門ジャーナリストの育成」です。グローバル化し、複雑化する社会のなかで、その課題を「発見し、読み解き、伝える」ことができるジャーナリストが必要とされています。J-School では専門認定プログラム(注3)を実施しています。
 三つめは「アジアにフォーカスしたジャーナリスト育成」です。国際ジャーナリズムのなかでも特にアジアに力点をおき、アジアにおける公共圏の構築

J-School の全体像
 J-School の魅力は「早稲田の力を結集した多彩な専門知の講義」と「経験豊富なジャーナリストを講師とする実践教育」です。理論と実践知を総合的に学べます。

【注1】ジャーナリズムコース特別AO入試(一般・実務経験社会人)を実施しています。
【注2】調査報道の実習授業(写真)、データ・ジャーナリズム認定プログラム。
【注3】政治、経済、科学技術、環境、医療の各プログラム。

bottom of page